2024年5月9日、NHK総合で放送された「あしたが変わるトリセツショー」は、多くの人々が直面している健康問題、高血糖に焦点を当てました。番組では、血糖値が高いという事実がどのように私たちの健康に影響を与えるか、そしてそれを管理し改善するための具体的な方法について詳しく解説しました。
血糖値とは何か?
血糖値は、血液中の糖の濃度を指し、これが高いと糖尿病を含む様々な健康問題を引き起こす可能性があります。番組では、血糖値が高い状態がどのようにして発生し、それが私たちの体にどのような影響を及ぼすかについて、視聴者にわかりやすく説明しました。
高血糖の基準とは?
健康診断での血液検査における高血糖の基準は、空腹時血糖が109mg/dL以下、HbA1cが5.5%以下です。これらの数値を超えると高血糖と診断されます。HbA1cは過去1~2ヶ月間の血糖値の平均を示し、5.6%以上であれば高血糖とされます。
番組での実践
番組では、ゲストの血糖値を測定し、いとうあさこさんの空腹時血糖は99mg/dL、チャンカワイさんは118mg/dLとHbA1cが7.4%という結果が出ました。これらの数値は、高血糖の状態を示しており、専門家が注目する対策を実践することで、これを正常な範囲に戻すことができるかどうかが検証されました。
血糖値と活性酸素:健康への影響と対策
血糖値の管理は、私たちの健康にとって非常に重要です。特に、糖がエネルギーに変わる過程で発生する活性酸素は、血管に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
活性酸素と血管の健康
活性酸素は、血管を傷つける性質を持っており、その量が増えると血管が継続的にダメージを受けます。特に細い血管はもろくなり、出血しやすくなるため、目での出血が繰り返されると失明のリスクが高まります。
メタボリックシンドロームと心筋梗塞
メタボリックシンドロームの人々は、コレストロールの蓄積による「コブ」が形成され、心筋梗塞などの深刻な合併症を引き起こす可能性があります。これは、血糖値の管理が心血管疾患の予防にも重要であることを示しています。
膵臓のβ細胞の役割
血糖を下げる主要な役割を担うのは、膵臓の「β細胞」です。β細胞は、糖を肝臓などにエネルギー源として取り込むことで、血糖値を調節します。糖尿病専門の税所先生によると、インスリンを分泌するのはβ細胞のみであり、高血糖の人は正常な人に比べてβ細胞が約13%減少しているとのことです。
食事とβ細胞の関係
不規則な食事時間は、β細胞に過度の負担をかけ、疲労や損傷を引き起こす可能性があります。糖尿病の人の場合、正常な人に比べてβ細胞が約34%減少していると報告されています。これは、規則正しい食事がβ細胞の健康にとって重要であることを示唆しています。
時間栄養学と血糖値管理:健康への新アプローチ
血糖値の管理において、食事のタイミングが重要な役割を果たすことが、最近の研究で明らかになっています。これは「時間栄養学」と呼ばれ、私たちの体内時計と食事のタイミングを同期させることにより、健康を向上させることができます。
β細胞のパフォーマンス向上
β細胞のパフォーマンスを高め、血糖値を下げるためには、β細胞の「暮らし」に合わせた食事が推奨されています。具体的には、朝食を8時半までに、昼食を12時から午後1時の間に、そして夕食を午後8時までに摂ることです。この実験では、食事の時間をβ細胞の活動に合わせた結果、竹下さんの血糖値が200mg/dLを超えることがなくなったと報告されています。
時計遺伝子の役割
柴田重信先生によると、β細胞には「時計遺伝子」が発現しており、これが体内時計をコントロールする遺伝子であるとされています。この遺伝子は、1日の食事の時間を記憶し、インスリンの準備をしているとのことです。
食事の分割とβ細胞への影響
坂根直樹先生は、規則正しい時間に食事を摂れない人に対して、寝る前の過食を避け、夕方に糖質を摂り、帰宅後は糖質の少ないおかずを分割して食べることで、β細胞の負担を軽減できると説明しています。
川崎市のクリニックでの取り組み
川崎市にあるクリニックでは、「時間栄養学」に基づいた食事指導を行っており、松葉怜さんは患者の生活リズムに合わせた指導を行っています。通院している渡辺さんは、約20年前に糖尿病と診断され、当時は食生活が乱れており体重が100kg、HbA1cが8%だったといいます。日々の歩数を増やし、HbA1cを6.9%まで減少させることができました。
まとめ
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