和食の名人・村田吉弘さんが教える、現代の食卓に取り入れやすい海藻レシピをご紹介します。日本近海には約1500種もの海藻が自生し、日本人は古くからこれを食文化の一部としてきました。今回は、わかめと鶏肉を使った治部煮風レシピをご紹介します。簡単で美味しい料理で、海藻をもっと身近に感じましょう。
材料と作り方
材料
- わかめ(塩蔵) 40g(戻して70gが目安)
- えんどう豆 50g(さやから出す)
- 鶏もも肉 1/2枚(120g)
- A
- だし 270ml
- うす口しょうゆ 大さじ1・1/2
- みりん 大さじ1・1/2
- 水溶き片栗粉
- 水 大さじ1
- 片栗粉 大さじ1
- 木の芽 適宜
- 小麦粉 適量
作り方
- わかめの準備
わかめは洗って水につけて戻し、水けをしっかり切り、食べやすい大きさに切ります。塩蔵わかめは塩抜きが必要なので、しっかり洗いましょう。 - えんどう豆の下処理
えんどう豆は沸騰した湯で2〜3分間茹で、冷水に取って冷やし、水けを切ります。この工程で色鮮やかなえんどう豆が仕上がります。 - 鶏肉の準備
鶏もも肉は7mm厚さのそぎ切りにし、小麦粉を薄くまぶします。小麦粉をまぶすことで、鶏肉に旨味が閉じ込められ、煮崩れを防ぎます。 - 鶏肉を煮る
鍋に【A】を合わせて中火にかけ、沸騰したら鶏肉を加え、2〜3分間煮ます。鶏肉に火が通ったら、わかめを加え、ひと煮立ちさせます。わかめは最後に加えることで、シャキシャキとした食感を楽しめます。 - 仕上げ
煮汁を残して鶏肉とわかめを器に盛ります。鍋を再び中火にかけ、えんどう豆を加えてひと煮立ちさせます。混ぜ合わせた【水溶き片栗粉】を加え、とろみがついたら器に盛り付け、あれば木の芽をのせて完成です。
栄養情報と健康効果
わかめと鶏肉の栄養価と健康効果
わかめと鶏肉の治部煮風は、栄養豊富な食材を使った健康的な料理です。ここでは、使用している主な食材の栄養価と健康効果について詳しく説明します。
わかめの栄養素と健康効果
わかめは、古くから日本の食文化に根付いている海藻で、栄養素が豊富に含まれています。以下にわかめの主な栄養素とその健康効果を挙げます。
- 食物繊維: わかめには豊富な食物繊維が含まれており、消化を助け、便通を改善します。腸内環境を整える効果もあります。
- ミネラル: わかめはヨウ素、カルシウム、鉄分、マグネシウムなどのミネラルを豊富に含んでいます。特にヨウ素は甲状腺機能をサポートし、基礎代謝を高めます。
- ビタミン: ビタミンKやビタミンAも豊富で、骨の健康維持や視力の保護に役立ちます。
- 低カロリー: 低カロリーであるため、ダイエット中の方にも適しています。
鶏肉の栄養素と健康効果
鶏肉は、たんぱく質を豊富に含むヘルシーな食材で、筋肉の修復や成長を促進します。以下に鶏肉の主な栄養素とその健康効果を挙げます。
- たんぱく質: 鶏肉は高品質なたんぱく質を提供し、筋肉の修復や成長を助けます。また、免疫力を高める効果もあります。
- ビタミンB群: ビタミンB6やビタミンB12が豊富で、エネルギー代謝を促進し、疲労回復をサポートします。
- 鉄分: 鉄分が含まれており、貧血予防に役立ちます。特に女性や成長期の子供にとって重要な栄養素です。
- 低脂肪: 皮を取り除くことで低脂肪になり、健康的な食事を実現します。
えんどう豆の栄養素と健康効果
えんどう豆も栄養価の高い食材で、健康維持に貢献します。以下にえんどう豆の主な栄養素とその健康効果を挙げます。
- 食物繊維: 腸内環境を整え、便通を改善する効果があります。
- ビタミンC: 免疫力を高め、風邪予防に効果的です。また、抗酸化作用も期待できます。
- 葉酸: 妊娠中の女性にとって重要な栄養素で、胎児の健全な発育をサポートします。
わかめと鶏肉の治部煮風は、栄養価が高く健康効果も期待できる一品です。わかめのミネラルやビタミン、鶏肉のたんぱく質とビタミンB群、えんどう豆の食物繊維とビタミンCなど、バランスの良い栄養素が摂取できます。日々の食卓に取り入れることで、健康的な食生活をサポートすることができます。このレシピを通じて、伝統的な和食の魅力を次世代に伝えていきましょう。
村田 吉弘 – 概要
村田 吉弘は和食の料理人であり、ミシュランガイド3つ星和食料亭「菊乃井」の三代目主人です。京都府京都市出身で、立命館高等学校、立命館大学産業社会学部を卒業しました。大学在学中にフランスへ渡り、フランス料理を学んだ後、日本料理の道に進みました。現在、「菊乃井」本店、「菊乃井 露庵」、「赤坂 菊乃井」、「無碍山房」を経営しています。
村田氏は日本料理アカデミーの理事長など要職を歴任し、2013年には「和食」のユネスコ無形文化財遺産登録に尽力しました。また、2018年には黄綬褒章を受章しています。その他の受賞歴として、2012年「現代の名工」「京都府産業功労者」、2013年「京都府文化功労賞」、2014年「地域文化功労者(芸術文化)」があります。
著書『割合で覚える和の基本』について
村田吉弘の著書『割合で覚える和の基本』は、和食の味付けをシンプルな割合で学ぶことができる指南書です。調味料やだしをシンプルな割合で合わせるだけで、ピタリと味が決まると評判です。2014年には「料理レシピ本大賞 in Japan」に入賞しました。
この本の中で、村田氏は和食の味付けが実は非常にシンプルで、単純明解な「割合」で成り立っていることを解説しています。例えば、煮物や汁物、つゆの味付けを決めるための具体的な割合を紹介しており、これさえ覚えれば定番のおかずが簡単に美味しく作れると述べています。
目次の一部
- 味の基本は1:1
- 1:1:1でバリエーション
- 1:1:8で煮物上手
- 1:1:10で乾物上手
- 旬の煮物は1:1:15
- どんぶりはだしをきかせて7:5:3
- ご飯物のおいしい割合
- 汁物のおいしい割合
- つゆも手づくり1:1:7と1:1:5
和食の味付けは難しいと思われがちですが、実は「割合」を覚えるだけで、誰でも簡単に美味しい料理が作れるということを村田吉弘は教えています。このシンプルなアプローチは、家庭料理をもっと楽しく、もっと美味しくする秘訣です。
まとめ
海藻は栄養価が高く、和食には欠かせない食材です。今回ご紹介したわかめと鶏肉の治部煮風レシピは、簡単に作れて健康にも良い一品です。村田吉弘さんのレシピを参考に、家庭で海藻をもっと取り入れてみてください。わかめの食感と鶏肉の旨味が絶妙にマッチし、誰でも簡単に美味しい料理が作れます。次世代にも伝えたい伝統の味を楽しみながら、健康的な食生活を送る手助けになれば幸いです。
コメント